消化器内科Ⅰ(消化管)

消化器内科Ⅰ方針

  • 患者さんの立場にたって、安全かつ最高の医療を提供できるよう努力します。
  • 消化器疾患の新たな診断法・治療法に関する臨床研究を行い、社会に貢献します。

スタッフ紹介

教授
  • 大宮 直木
  • 柴田 知行
准教授
  • 中川 義仁
講師
  • 長坂 光夫
  • 舩坂 好平
助教
  • 鎌野 俊彰
  • 小村 成臣
  • 城代 康貴
  • 大森 崇史
  • 堀口 徳之
  • 尾﨑 隼人
  • 寺田 剛
  • 吉田 大
  • 小山 恵司
  • 前田 晃平
助手
  • 村島 健太郎

教授紹介

  • 患者さんの立場にたって、安全かつ最高の医療を提供できるよう努力します。

    大宮 直木

    教授

    Naoki Ohmiya

    大宮 直木

    専門・実績

    日本消化器病学会専門医・指導医・財団評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・社団評議員・東海支部幹事、日本内科学会認定医・指導医、日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医・理事、日本小腸学会理事、日本消化管学会代議員、日本高齢消化器病学会評議員、日本消化器がん検診学会東海北陸支部評議員、アメリカ消化器病学会フェロー、日本大腸肛門病学会評議員、大腸癌研究会世話人、国際顕微内視鏡学会IS4E Conference Planning Committee member。
    1988年卒業後徳洲会病院勤務、2001~2005年大学院、2007年~2008年アメリカ・バーナム研究所、2001年~名古屋大学医学部消化器内科助手、2006年~名古屋大学医学部消化器内科講師、2013年~藤田保健衛生大学消化管内科准教授、2015年~藤田保健衛生大学消化管内科主任教授。専門は消化管(特に小腸・大腸)疾患の内視鏡診断・治療、カプセル内視鏡、ピロリ菌による慢性胃炎から胃癌発生のメカニズムに関する研究、腸内細菌・糞便移植に関する研究、難治性消化管疾患の分子生物学的解明、大腸癌の早期診断法、バイオマーカーの開発。

    アピールポイント

    当院は愛知県の尾張地方と三河地方にまたがる大学病院で、尾張地方、三河地方のみならず他府県からも多くの患者さんが来院されます。救急医療にも力を入れており、消化器内視鏡の緊急検査も多数行っております。また、大学病院の本分の1つである臨床研究にも力を入れており、新しい診断法、治療法の開発に取り組み、消化管疾患で悩む患者さんに最高の医療が提供できるよう努力しております。消化管疾患で悩んでおられる患者さんはお気軽に受診下さい。

    Department of Gastroenterology
    We provide accurate diagnoses and medical/endoscopic treatment for various kinds of gastrointestinal disorders by effectively combining cutting-edge diagnostic modalities and our extensive experience. We also strive to improve patients’ quality of life with our advanced medical treatments.

    We aim to treat:
    Esophageal carcinoma, reflux esophagitis, esophageal varix, achalasia, gastric carcinoma, peptic ulcer, Helicobacter pylori-infected gastritis, gastrointestinal stromal tumor, gastric varix, gastric antral vascular ectasia, obscure gastrointestinal bleeding, small-intestinal diseases, colorectal adenoma and carcinoma, ulcerative colitis, Crohn’s disease, intestinal tuberculosis, ischemic enteritis and colitis, small- and large-intestinal diverticulosis, malignant lymphoma and other gastrointestinal tumors, gastrointestinal angiodysplasia, radiation proctitis, and others.
  • 消化器疾患全般につき最新かつ最適な診断・治療をお届けします。

    柴田 知行

    教授

    Tomoyuki Shibata

    柴田 知行

    専門・実績

    日本内科学会認定医・総合内科専門医、指導医、評議員、日本消化器病学会専門医、指導医、評議員、日本消化器内視鏡学会専門医、指導医、評議員、日本消化管学会胃腸科専門医、指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本マイクロ・ナノバブル学会評議員、日本ヘリコバクター学会H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医

    アピールポイント

    平成15年から当院消化器内科医として従事してきました。主に上部消化管疾患を中心に腫瘍の内視鏡治療から機能性の疾患まで幅広く対応しています。困った事があれば何でも相談して下さい。

消化器内科Ⅰとは

消化器内科Ⅰは咽頭、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸)、肛門にいたる7~9メートルほどの消化管に発生した疾患を扱う内科の1つです。消化管は食物の消化や吸収、消化管ホルモンの分泌を行っております。また「第2の脳」と呼ばれるほど神経系が発達し、人体最大の免疫臓器としての役割も担っています。本院の消化器内科Ⅰには約20名の医師が在籍し、以下の領域のエキスパートが診療を行っています。

食道

近年ピロリ菌の感染率の低下、肥満、高齢化で胃食道逆流症が増加しています。また、それに伴い食道にバレット上皮と呼ばれる円柱上皮が発生します。我々はバレット上皮の発生機序の解明やバレット上皮から発生する腺癌の診断精度の向上を目指しています。また、早期・表在型食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)を行っています。非切除症例の進行食道癌に対して化学放射線療法を行い、有効性の層別解析やバイオマーカーを探索しています。また、食道・胃静脈瘤に対しては内視鏡治療、放射線科と協力してバルーン閉鎖下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)を行っています。食道アカラシアなどの食道運動障害に対し、食道内圧検査(high resolution manometry)や食道造影検査、食道・胃pHモニタリング検査を用いて診断を行っています。

ピロリ菌は慢性胃炎を惹起し、胃潰瘍をはじめ胃癌や悪性リンパ腫の発生にも関与します。我々は早期胃癌に対し画像強調拡大観察や顕微内視鏡(Cellvizio)を用いた範囲診断を行い、ESDによる治療を行っています。非切除症例の進行胃癌に対しては化学療法、免疫チェックポイント阻害剤による薬物治療を行い、有効性の層別解析を行っています。当院は救急指定病院であり、救急疾患の患者さんが多数来院されます。消化管内視鏡の緊急検査も多く、胃潰瘍出血等に対する内視鏡的止血術も行っています。また、食道、胃・十二指腸狭窄に対するステント治療も行っています。臨床研究として、胃腫瘍や機能性ディスペプシアの発生メカニズムをピロリ菌、粘液形質、宿主遺伝子異常、遺伝子多型、DNAメチル化、non-coding RNAであるmicroRNAの点から解析しています。

小腸

小腸は口からも肛門からも遠く、かつ全長が4~6メートルと長く、後腹膜に固定されていない自由腸管であるため、以前は内視鏡が入らず、暗黒大陸と言われていました。最近ではカプセル内視鏡やバルーン内視鏡の開発のおかげで、小腸全域の内視鏡診断、内視鏡治療が可能となりました。我々は、カプセル内視鏡とダブルバルーン内視鏡・顕微内視鏡(Cellvizio)を用いて、各種小腸疾患(出血、炎症、腫瘍、医原性疾患、先天疾患)の診断、内視鏡治療(止血、腫瘍摘除、狭窄に対するバルーン拡張術、整復)を行っています。また、従来は胃切除等の手術に伴うRoux-en-Y再建術やビルロートⅡ法再建術を行うと経口内視鏡を用いた膵胆管系処置が不可能となり、経皮経肝的アプローチをせざるを得ないことが多くありました。我々は肝胆膵内科と共同で、経口的ダブルバルーン内視鏡で術後再建腸管を介する膵胆管系の内視鏡診断・治療を行っています。

大腸

大腸癌は食生活の欧米化などで罹患数、死亡数とも年々増加し、2017年において男女合わせて罹患数は第1位、死亡数は第2位(男性では第3位、女性では第1位)となっています。我々は、大腸内視鏡、大腸CT、大腸カプセル内視鏡を用いて、前癌病変である腺腫や大腸癌の診断を行っています。内視鏡治療の適応決定にはリンパ節転移の可能性のある粘膜下層深部浸潤癌や癌の範囲を的確に診断することが重要で、我々は画像強調・色素拡大観察、顕微内視鏡(Cellvizio)を用いて診断しその有用性を評価しています。また、JNET(Japan NBI Expert Team)に参加し、NBI(narrow band imaging:狭帯域光観察)の統一分類の作成にも関与しました。当院では外来または入院で大腸腫瘍に対する内視鏡治療を行っており、平坦型早期大腸癌や線維化を来した大腸腺腫等に対してはESDを2012年の保険収載当初より導入し、現在までに400例を超える治療を行ってきています。研究面では大腸腫瘍に関連する宿主遺伝子異常、遺伝子多型、DNAメチル化、microRNA、腸内細菌遺伝子を解析し、大腸腫瘍の発生、進展メカニズムを解析し、早期発見のためのバイオマーカーの同定を目指しています。
また、最近の人口高齢化や抗血栓薬使用の増加により、大腸憩室出血の患者さんが増加しています。当科では内視鏡的止血術に加え、高濃度バリウム充填法を行っています。また放射線科の協力で経カテーテル動脈塞栓術を行い、その有用性を評価しています。また、腸閉塞を呈するような進行大腸癌に対してはステント治療も行っています。

炎症性腸疾患(IBD)

 小腸・大腸を中心とする消化管に原因不明の炎症や潰瘍を引き起こす疾患で、広義では腸管ベーチェット病・単純性潰瘍、非特異性多発性小腸潰瘍症などが含まれ、狭義では潰瘍性大腸炎やクローン病を指します。食生活の欧米化などで日本でも10~40歳代を中心に患者数が年々増加しています。当院は愛知県の難病指定病院であり、難病指定医を多数外来に配属させています。CT、大腸内視鏡、小腸X線検査、注腸X線検査、ダブルバルーン小腸内視鏡、パテンシーカプセルによる開通性評価・小腸カプセル内視鏡、大腸カプセル内視鏡を用いて、IBDに対し低侵襲かつ的確に診断するよう心がけています。また、治療においては従来の成分経腸栄養(エレンタール)による栄養療法、薬物治療である5ASA製剤(ペンタサ®・アサコール®・リアルダ®)、ステロイド治療(プレドニン®・ゼンタコート®・レクタブル®等)、アザチオプリン(イムラン®・アザニン®)・6MP(ロイケリン®)・タクロリムス(プログラフ®)・シクロスポリン(サンディミュン®、ネオーラル®)といった免疫調節剤、免疫抑制剤、GCAP(granulocyte apheresis:顆粒球吸着除去療法)やLCAP(leucocytapheresis:白血球除去療法)といった血球成分除去療法、抗TNF抗体製剤であるインフリキシマブ(レミケード®)やアダリムマブ(ヒュミラ®)、ゴリムマブ(シンポニー®)やインターロイキン(IL)-12及びIL-23のp40サブユニットに対する抗体製剤であるウステキヌマブ(ステラ-ラ®)、α4β7インテグリン阻害剤であるベドリズマブ(エンタイビオ®)、ヤヌスキナーゼ阻害剤であるトファシチニブ(ゼルヤンツ®)による治療を多数行っています。また、他の様々な臨床治験も行っております。合併症である消化管狭窄に対しては大腸内視鏡やダブルバルーン小腸内視鏡を用いたバルーン拡張術を積極的に行い、手術の回避につなげています。瘻孔合併などの手術適応症例については当院の総合消化器外科の協力で、術後再狭窄の予防のために新しい手術法であるKono-S式吻合術が行われています。研究面では、クローン病や潰瘍性大腸炎、非特異性多発性小腸潰瘍症などの慢性炎症性腸疾患の病態を宿主遺伝子異常、DNAメチル化、microRNA、腸内細菌遺伝子から解明し、病態生理に即した治療法・予防法を見出すことを目標としています。
再発性クロストリジウム・ディフィシル腸炎、既存治療で効果の乏しい潰瘍性大腸炎、クローン病に対しては腸内細菌の解析も行い、治療として健康な人の便中の腸内細菌を内視鏡的に投与し、腸管に定着させる糞便移植(腸内細菌叢移植)も行っています。

特定臨床研究

「磁気誘導全消化管カプセル内視鏡の消化管腫瘍描出率の無作為割付対照比較試験 (jRCTs042180150)」

「クローン病に対する糞便バンクを用いた糞便移植の有効性に関する多施設無作為割付対照比較試験(jRCTs041190022)」

 クローン病は主に10~30歳代の若年者を中心に発症し、小腸や大腸などに潰瘍を引き起こす原因不明の肉芽腫性炎症性疾患で、厚生労働省の指定難病です。日本では患者数が増加しており、約4万人の患者さんがいるとされています。この病気はしばしば腸管の狭窄や瘻孔、穿孔などを引き起こすため、腸管切除や内視鏡的バルーン拡張術が必要となります。近年多くの有効な薬剤が使用可能になっていますが、未だ完治させる治療法はありません。糞便移植療法(腸内細菌叢移植療法)は健常者の便から抽出した腸内細菌叢をそのまま患者の腸管内に導入することで、腸内細菌叢を正常に回復させる治療法であり、クローン病に対しては現時点で少数の症例報告(Inflamm Bowel Dis 2015、J Gastroenterol Hepatol 2015)にとどまりますが、公表されている有効率は70%前後とされています。ただ、糞便移植はドナーの選定が困難だったり、ドナー候補が見つからない場合もあります。また、ドナーのスクリーニング検査をしなければならないため、希望してもすぐに糞便移植をすることができません。本研究では、ドナーを選ぶことなく、当院で設立した健常者の糞便バンクより提供された腸内細菌叢を用いて、エビデンスレベルの高い多施設共同無作為割付比較試験でクローン病に対する糞便移植療法の有用性を検証します。

「難治性消化管疾患における糞便移植(糞便バンクを含む)の有用性(jRCTs041190021)」

「大腸カプセル内視鏡と大腸CTの大腸腫瘍・ポリープの検出能に関するオープンラベル無作為化平行群間比較試験(jRCTs042180142)」

「蛍光造影剤(フルオレサイト注)を使用したプローブ型共焦点レーザー内視鏡の 有用性の検討(jRCTs041180036)」

共焦点内視鏡はレーザー光と光学技術を使って生体組織を細胞レベルで視覚化するために新しく開発された顕微内視鏡です。この新しい画像装置はプローブ型のため、通常の内視鏡の鉗子孔を通して使用でき、接触した部分の細胞構造が把握できるほどの分解能を有します。すなわち、1,000倍に拡大された細胞のデジタル画像がコンピューター画面としてリアルタイムで表示され、生検を行なわなくても細胞構造の変化を即座に検出することができる、まさにoptical biopsyを可能にした内視鏡です。当研究室では通常の内視鏡、画像強調拡大観察等で診断困難な病変に対し、共焦点レーザー内視鏡を施行し、その有用性や安全性を評価しています。

「潰瘍性大腸炎関連腫瘍におけるプローブ型共焦点レーザー内視鏡の有用性に関する2施設共同研究(jRCTs041180035)」

 潰瘍性大腸炎患者さんの長期経過例の増加に伴い、潰瘍性大腸炎関連腫瘍が増加しています。その内視鏡サーベイランスには色素散布・狭帯域光観察拡大観察が用いられていますが、炎症・孤在性腺腫・UCANの鑑別に難渋することも多いです。2014年4月リアルタイムに顕微観察可能なプローブ型共焦点レーザー内視鏡が薬事承認され、optical biopsyが可能になりました。われわれは以前、潰瘍性大腸炎関連腫瘍の診断にプローブ型共焦点レーザー内視鏡が有用であることを報告しました(Dig Endosc. 2017 Jul;29(5):626-633.)。今回、その所見の正診率を本学と慶應義塾大学内視鏡センターの2施設で前向きに検証します。具体的には、潰瘍性大腸炎関連腫瘍疑診例に対し、色素散布・狭帯域光観察拡大観察、プローブ型共焦点レーザー内視鏡を施行し、各所見と病理所見を比較します。

臨床研究

カプセル内視鏡内服不可能および内視鏡的挿入補助具に関する全国多施設共同調査 AdvanCE-J study

カプセル内視鏡は、小腸や大腸の病気を調べるのに有用な検査です。しかし、小腸カプセル内視鏡・パテンシーカプセルは26mm×11mm、大腸カプセル内視鏡は、31mm×11mmと大きいので、カプセルをできない患者や十二指腸に流れない患者さんには、上部内視鏡と専用の挿入補助器具(AdvanCE®)やスネア等を使用して、カプセルを胃や十二指腸まで入れて検査が行われます。
この研究では、全国の複数の研究参加施設を対象に、これらの挿入補助器具の使用実態調査を行い、その有効性や安全性について調べます。

▶カプセル内視鏡内服不可能および内視鏡的挿入補助具に関する全国多施設共同調査 AdvanCE-J study

腸管希少難病群の疫学、病態、診断、治療の相同性と相違性から見た包括的研究

日本における「腸管気腫症」の実態を明らかにし、その合併症(腸管虚血、腸閉塞、敗血症、消化管出血、死亡)の発生や手術に至る病態リスクを解明することを目的とします。

▶腸管希少難病群の疫学、病態、診断、治療の相同性と相違性から見た包括的研究

日本人炎症性腸疾患患者におけるCOVID-19感染者の多施設共同レジストリ研究

COVID-19に感染した日本人炎症性腸疾患患者さんの情報を集めて、炎症性腸疾患患者さんにおけるCOVID-19感染率ならびにCOVID-19感染が患者さんの症状に及ぼす影響を明らかにします。このことは、COVID-19の発症予防やCOVID-19感染時の炎症性腸疾患の治療内容の適切化につながります。

▶2020年1月1日~2021年12月31日の間に藤田医科大学病院消化器内科Ⅰに炎症性腸疾患で通院中の方でCOVID-19に感染された方へ

臨床検体由来組織の3次元培養と研究への応用

人体実験や動物実験を行なわずに病気のメカニズムを解析するための研究を飛躍的に進歩させた実験法の一つに、患者さんなどから抽出した細胞を体外で培養する培養細胞法があり、これまでは2次元での培養が主になされてきました。
3次元培養とは実験動物や患者さん由来の組織を体外で特殊な方法で立体的に培養する方法です。患者さん由来の細胞と3次元培養で増殖させた細胞は、2次元培養の細胞にくらべて患者さんの特徴により似ていることがわかってきており、患者さんへの診断・治療への応用のために有用なデータを得られることが報告されています。
我々は患者さん由来の細胞を3次元培養で増殖させ、実験等に利用することを目的としています。消化管疾患の原因究明や治療方針決定、治療の有効性を検証するため消化管内視鏡、手術などで得られた細胞を体外で3次元培養し増殖させます。

「潰瘍性大腸炎における発症年齢とステロイド大量静注療法の効果との関連」

潰瘍性大腸炎は比較的若い年齢層で罹りやすい病気ですが、近年、ご高齢になってから病気が発症する方が増えており問題となっています。藤田医科大学消化器内科Ⅰではこれら発症年齢の異なる潰瘍性大腸炎の実態を調査し、各年齢層でより良い診療を提供するために、全国の病院と協力し臨床研究を行います。本研究は、入院病棟で、2014年4月1日から2019年7月31日までにステロイド大量静注療法が開始された潰瘍性大腸炎の患者様を対象としています。

潰瘍性大腸炎における発症年齢とステロイド大量静注療法の効果との関連について

「大腸癌1.5次検診をめざした大腸用カプセル内視鏡と大腸CTの無作為化平行群間比較試験(UMIN 000012747)」

我が国における大腸がんスクリーニングは、1次検診に便潜血検査が採用され、陽性反応が出た場合は大腸内視鏡による2次検診が行われています。しかし、1次検診受診率は35.4%(2013年)と低く、大腸内視鏡による2次検診受診率も50~60%と低いのが現状です。大腸内視鏡検査は苦痛を伴うという不安や羞恥心がその理由に挙げられます。その点、カプセル内視鏡や大腸CTは大腸がん検診受診率向上のひとつの契機になりえます。そこで、今後は、便潜血検査と大腸内視鏡の間を埋める適切な1.5次検診のデータとなる大腸用カプセル内視鏡と大腸CTの無作為化平行群間比較試験を実施しています。今後、内視鏡精度の高い日本から発信するプロジェクトとして、検診受診者さんを対象とした、大腸用カプセル内視鏡と大腸CTの腫瘍・ポリープ検出率、見落とし率や安全性、患者受容性を客観的に比較評価します。

「2種類の小腸カプセル内視鏡PillCamSB3とエンドカプセルEC-S10の病変診断能、読影時間のクロスオーバー比較研究(UMIN000020135)」

小腸カプセル内視鏡の開発により、深部小腸の病変が苦痛や放射線被曝なしで容易に診断可能となりました。ただ、小腸カプセル内視鏡には見落としがあることも指摘されています。2005年の欧州カプセル内視鏡データベースでは小腸腫瘍の18.9%、小腸血管性病変の5.9%、小腸潰瘍の0.5%は見逃されていたと報告されています。2012年のHondaらの小腸腫瘍の検討では101例中18.8%が見逃されていました。これらカプセル内視鏡の小腸病変の見落としは、腸管の前処置不良や粘膜下腫瘍などの病変性状といった被験者・病変側の要因と、カプセル内視鏡の画質・視野角、フレームレートというカプセル内視鏡自体の要因があるとされている。特に通過速度の速い十二指腸や上部空腸では見落としが多いことが指摘されています。今回の研究の目的はフレームレートの異なる現世代の2つのカプセル内視鏡を同一患者にほぼ同時に使用することで病変診断能、読影時間を比較検討します。

「大腸用カプセル内視鏡検査におけるFICE(Flexible Spectral Imaging Color Enhancement)機能の有用性についての検討(UMIN000021125)」

大腸用カプセル内視鏡検査の読影用のRAPID®ワークステーションにインストールされているソフトウェアには、分光画像処理機能(Flexible spectral Imaging Color Enhancement:FICE)が搭載されています。これは通常光で得られた画像から被写体の分光情報を推定し、微細な色調変化を強調する機能です。今回の研究目的は大腸カプセル内視鏡読影におけるFICE機能の有用性について検討します。

「クロストリジウム・ディフィシル感染症に対する糞便移植等の治療効果に及ぼす宿主因子、高病原性株、内在性ファージの関与(UMIN000021126)」

Clostridium difficile(CD)はグラム陽性芽胞形成性偏性嫌気性菌で、下痢・腸炎を引き起こし、重症例では偽膜性大腸炎となります。CDは嫌気性菌のため酸素存在下では増殖できないが、いったん芽胞を形成すれば物理的、化学的、熱処理や乾燥に対して極めて強い耐久性を示し長期間生存できます。発症メカニズムはその芽胞が経口的に消化管内に侵入し、胃の酸性環境で生き延び、小腸で芽胞が発芽し、抗菌薬等の長期間使用により大腸内の腸内細菌叢が破綻すると大腸内でCDが増殖し偽膜性大腸炎を含む大腸炎を引き起こします。特に長期入院中の高齢者や老人ホーム入所者、酸分泌抑制剤の長期内服、臓器移植後の免疫機能低下状態、消化管手術後、炎症性腸疾患などが発症のリスク因子と言われます。特に先進国では人口高齢化とそれに伴う基礎疾患の多様化、抗菌薬等の治療薬の普及によりCD感染症は増加しており、その発症数の把握や感染管理・治療は今後益々重要となっている。近年、再発性CD感染症に対して糞便移植療法が有用であることが欧米で多数報告されています。今回の研究目的は、通常の抗菌薬治療や糞便移植療法を施行されたCD感染症を対象に国立感染症研究所、北里大学、麻布大学との多施設共同研究で宿主側因子、ディフィシル菌側因子(toxin A/B, binary toxin、PCR-ribotype、特異的バクテリオファージ(ファージ))、次世代シーケンスによる腸内細菌叢の変化を解析することで、どのような患者、菌株感染が抗菌薬に反応せず糞便移植が有効なのかを検討します。

「大腸カプセル内視鏡の有効性・安全性・受容性に関する多施設共同前向き研究(UMIN000021936)」

2014年1月の大腸カプセル内視鏡の保険承認後は各施設で様々な前処置・ブースター法が用いられていますが、日本カプセル内視鏡学会・日本消化管学会による大腸カプセル内視鏡使用調査報告書(2014年12月)によれば全大腸観察率は全国平均78%(371例/477例)と未だ低いのが現状です。また、大腸カプセル内視鏡と大腸内視鏡の所見の対比も十分検証されておらず、各施設の検査件数も現在まで多くて100例前後の状況です。そこで今回、日本カプセル内視鏡学会の支援を受けて当院を事務局として大腸カプセル内視鏡の前向き国内多施設共同研究を行い、大腸カプセル内視鏡の前処置・ブースター別の全大腸観察率を調べ、より良い前処置・ブースター法の選択につなげることを目指します。また、大腸内視鏡所見と対比をすることで大腸カプセル内視鏡の有用性を検証することを目的とする。他にも、偶発症の登録、被験者のアンケート調査も行い、安全性、受容性も検証します。

「難治性潰瘍性大腸炎を対象としたアドレノメデュリン製剤による医師主導治験 Phase Ⅱ」

ステロイド抵抗性潰瘍性大腸炎患者を対象としてアドレノメデュリン持続静注を実施し、有効性と安全性を検討し、至適用量を検討することを目的としています。アドレノメデュリンは1993年に宮崎大学第一内科・北村和雄教授らがヒト褐色細胞腫組織より発見した52個のアミノ酸からなる生理活性物質で、抗炎症・組織修復作用を有することが知られています。当院では宮崎大学第一内科を中心とした医師主導治験 Phase Ⅱに参加しています。

「生物学的製剤抵抗性クローン病を対象とした多施設共同二重盲検アドレノメデュリンphase II医師主導治験」

生物学的製剤による維持療法中のクローン病患者で、生物学的製剤により症状改善はみられるものの寛解維持が困難な被験者を対象として、アドレノメデュリン持続静注(10 ng/kg/minまたは15 ng/kg/min)を上乗せし、有効性と安全性を検討することを目的とします。当院では宮崎大学第一内科を中心としたPhase Ⅱ医師主導治験に参加しています。

「大腸腺腫と早期大腸がんの診断に有用な血液バイオマーカーの探索同定」

我が国における2016年のがん統計予測(国立がん研究センター発表)によると大腸がんの罹患数は147,200人とがんの中で最多となり、死亡数も51,600人と肺がんについで2番目に多い癌です。大腸がんは肺がんと並んで増加の一途を辿っていますが、発見される大腸がんのうち進行癌の占める割合は60%前後と診断の遅れが問題となっています。また、大腸がんの5年生存率(2004~2007年全がん協加盟施設の生存率共同調査)はStageⅠ~Ⅲでは80%以上なのに対し、StageⅣでは20%以下であることから、大腸がんにおいては、早期診断と治療により予後の改善が期待できます。またほとんどの大腸がんは、10年以上の長い経過の中で、腺腫からがんへと進展していくことが知られており、特にがん化のリスクの高い前がん病変として、1cm以上の大きさを持つ大腸腺腫を診断することも、侵襲の少ない内視鏡治療を可能とし、さらに大腸がんの予後を改善しうる有力なアプローチであると考えられます。大腸がんを早期発見するためのスクリーニング検査としては、1次検診として一般に免疫法便潜血検査が行われ、陽性反応が出た場合には大腸内視鏡による精密検査が行われます。しかし、2013年の1次検診受診率は35.4%(全国平均)と低く、また免疫法便潜血検査の問題として、疑陽性率が高く、また早期大腸がんに対する感度が約50%と低いことが挙げられます。そのため、より簡便かつ高精度な、高リスク大腸腺腫を含む大腸がん診断テストの開発が望まれています。米国においては、最近免疫法便潜血検査と便中DNAを組み合わせた診断キット(Cologuard)がFDAに承認されました。Cologuardの高リスク大腸腺腫に対する感度は42.4%です (Imperiale et al. NEJM 2014) 。血液を用いた大腸がん診断は、その簡便さと受容性の高さから非常に有望ですが、Cologuard同様最近FDAに承認を受けた、血中メチル化SEPT9検査の高リスク大腸腺腫に対する感度は11.2%と低いです(Church et al. Gut 2014)。そこで本研究では、血漿中タンパク質、自己抗体、マイクロRNA、エクソゾームの網羅的解析から、高リスク大腸腺腫と早期大腸がんの新規血液バイオマーカーの探索同定を行い、大腸がんスクリーニングに有用なバイオマーカーパネルの確立を目指します。

「小腸疾患におけるカプセル内視鏡とダブルバルーン内視鏡の有用性と安全性」(UMIN000025693)

小腸疾患は血管性病変、炎症性疾患、医原性疾患(薬剤性傷害、放射線障害)、腫瘍性疾患、先天疾患など多岐に富みます。2003年日本でダブルバルーン小腸内視鏡が発売され、小腸全域の詳細な観察および内視鏡治療が可能となりました。また、2004年から小腸用カプセル内視鏡が本邦で使用可能になり、2007年には保険収載がなされ、現在では広く検査に用いられています。カプセル内視鏡は苦痛無く小腸全域の内視鏡観察ができるため、スクリーニングおよび治療後のフォローアップに主に用いられ、ダブルバルーン小腸内視鏡は精査および内視鏡治療に主に用いられています。今回、過去に施行された、および今後施行される予定のカプセル内視鏡及びダブルバルーン小腸内視鏡の検査所見、検査画像、臨床情報を用いて各種小腸疾患の診断、内視鏡治療(止血術、バルーン拡張術、腫瘍・ポリープ切除術等)における有用性および検査偶発症について後ろ向きおよび前向きに検討します。

「大腸憩室出血に対する注腸バリウム充填療法の有用性に関する無作為化平行群間比較試験」(UMIN000029256)

大腸憩室出血の診断と治療には大腸内視鏡検査が有用です。しかし、大腸憩室出血は自然止血し、出血源が同定出来ない場合も多く、また止血に難渋する場合や、たとえ止血に成功したとしても後日再出血を来すことも稀ではありません。当院では止血に難渋する大腸憩室出血に対して、2011年7月より注腸バリウム充填療法を施行しています。注腸バリウム充填療法は高濃度(200%)のバリウムを使用することで、バリウム塊による圧迫作用、バリウムによる直接的な血液凝固作用、憩室内の露出血管の血栓化または硬化の止血機序により、大腸憩室出血の治療(止血・予防)が期待できます。本研究では、注腸バリウム充填療法を行うことによって、大腸憩室出血の再出血予防効果を無作為化平行群間比較試験で検証します。

「プローブ型共焦点レーザー内視鏡(pCLE)を用いた 十二指腸非乳頭部上皮性腫瘍(SNADETs)のリアルタイム診断能の前向き検証) (UMIN000033100)

十二指腸非乳頭部上皮性腫瘍(SNADETs)は近年発見率が上昇していますが、内視鏡診断については確立されていないことが診療上の問題点のひとつです。われわれは以前より、リアルタイムに顕微観察可能なプローブ型共焦点レーザー内視鏡をSNADETsに対して施行し、SNADETsの腺腫や癌に高頻度に認められる画像所見を見出しています(未発表データ)。本研究は、SNADETsの共焦点レーザー内視鏡異常所見をもとにした新規分類法の妥当性を前向きに検証することを目的としており、具体的には、SNADETsの病変に対し、プローブ型共焦点レーザー内視鏡を施行し、その所見にもとづいたリアルタイムの病理所見予測診断能を内視鏡切除標本の病理所見をスタンダードとして評価します。

「ヘリコバクターピロリ除菌後発見胃癌の診断における各種画像強調内視鏡の有用性の前向き検討」 (UMIN000033390)

ヘリコバクターピロリ(H. pylori)菌感染は、慢性胃炎を起こし、胃癌のリスクを上昇することから、現在ではH. pylori感染者に対して除菌治療が広く行われています。H. pylori除菌は胃癌の抑制、特に早期胃癌内視鏡治療後の再発を防ぐ効果が期待できます。一方、H. pylori除菌後に発見される胃癌は癌部表層に正常粘膜が覆いかぶさったり、癌細胞の異型が癌部表層において弱くなるという特徴が指摘されているため、内視鏡診断が困難になり、発見が遅れたり、内視鏡的切除における範囲診断が困難になる可能性があります。実際に、除菌後に発見される早期胃癌の約40%において、癌部が周囲粘膜と近似し診断が困難となるとの報告が各施設より発表されています。早期胃癌のような微細な病変の診断能を改善させる工夫としては、各種画像強調内視鏡が用いられており、これにはインジゴカルミンという色素液のたまりを利用して、病変の凹凸を強調するコントラスト法、病変内部の血管・構造をより詳細に描出する狭帯域光観察(NBI)併用拡大内視鏡、BLI狭帯域光観察(NBI)併用拡大内視鏡などがあります。本研究では、除菌後胃癌の診断能における各種画像強調内視鏡の有用性を前向き研究により検討する目的で、藤田保健衛生大学病院内視鏡センターで上部消化管内視鏡検査をうける患者さんのうちH. pylori除菌歴のある患者さん、胃癌内視鏡治療後でH. pylori除菌歴のある患者さんを対象とした前向き研究を行います。対象者となる方に内視鏡検査中、病理検査が必要な胃病変や、胃癌を疑う所見を認めた場合、インジゴカルミン色素内視鏡、NBIまたはBLI拡大内視鏡検査による観察を行い、各種内視鏡観察による所見、診断結果(癌または良性)を記録いたします。胃癌と診断された患者さんについては内視鏡切除を行い早期胃癌の内視鏡切除後検体を用い、各種内視鏡観察による病変範囲の診断が正しかったかを評価いたします。なお、本研究で行う検査手順はすべて日常診療の範囲内であり、研究対象者に生じる経済的負担はありませんし、治療方針は通常診療として主治医と患者の意思により決定しますので、本研究に参加することによる治療上での直接的な患者さんの利益、不利益はございません

「消化器炎症~発癌の過程におけるGenetic/epigeneticの相互作用と予後に関する検討」

癌の発育進展には遺伝子変異などのGeneticな異常と遺伝子メチル化などのepigeneticな異常
の両者が重要であることがわかっています。本研究では、消化器癌の発生機構の解明、および新たな診断法・治療法の確立を目指す目的で、過去に当院で診療を行った消化管疾患(腫瘍、炎症、機能性障害)症例由来の消化器疾患病変部位、健常者の消化管粘膜、血液、内視鏡洗浄液、うがい液などのDNAサンプルに対し、遺伝子解析(遺伝子変異解析、メチル化解析)を行い、患者背景・臨床情報からリスク因子、症例ごとの予後、治療反応性の違いを規定するバイオマーカーの探索を目的とします。本件につきましては藤田保健衛生大学 医学研究倫理審査委員会にて厳密な審査を行い、藤田保健衛生大学 学長の許可を得た上で承認を得ております。なお、研究は過去に同意を得て収集したゲノム試料および診療記録を用いて行われますので、該当する方の現在・未来の診療内容には全く影響を与えませんし、不利益を受けることもありません。解析にあたっては、個人情報を匿名化させて頂き、その保護には十分配慮致します。

英文論文業績一覧

本科で診療実績のある主な疾患例

食道癌、逆流性食道炎、食道静脈瘤、食道アカラシア、胃癌、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、H.pylori感染症、胃粘膜下腫瘍、胃静脈瘤、胃十二指腸ポリープ、小腸出血、小腸腫瘍、小腸潰瘍、小腸憩室、大腸癌、クローン病、潰瘍性大腸炎、腸結核、虚血性大腸炎、感染性腸炎、大腸ポリープ、大腸憩室症、悪性リンパ腫、その他の腫瘍など。