病院長ご挨拶
患者さんに寄り添い、専門的・先進的医療を提供します
藤田医科大学病院は昨年5 月に開院50 周年を迎えました。1973 年に小さな町の大学病院としてスタートした当院ですが、今では43 の診療科と国内最多の病床数1,376床を有し、特定機能病院として高度医療を推進する施設となりました。一方、地域医療の砦となる基幹病院としての使命も担っており、先進医療の推進と医療の国際化、地域医療への貢献を目指してその機能を充実させるとともに、大学病院として「良き医療人」の教育、研究の推進にも取り組んでいます。
高度救命救急センター、基幹災害拠点病院に指定されている当院ですが、さらに救急医療体制を強化し、自然災害や大地震など有事の際に医療救護活動の要となる役割を果たすべく、今年2 月よりドクターヘリの運航を開始しました。令和6 年能登半島地震においては、災害派遣医療チーム(DMAT)を派遣するとともに、正式運用前ながら石川県からの要請を受け、ドクターヘリによる医療支援を実施しました。また、大規模災害時にも通常医療を維持できるよう、太陽光発電や水資源等のインフラ整備を含めた「病院強靱化」にも取り組んでいます。
がん治療においては、当院では全国に先駆けて手術支援ロボット「ダビンチ」を導入し、現在ではロボット支援手術が可能なほぼすべての領域に対応できる体制が整っています。がんゲノム医療の普及にも対応すべく、昨年9 月にはがんゲノム診療科を開設し、個別化医療のさらなる進展を目指しています。また、今年5 月には、国内初となる「セラノスティクスセンター」が本格稼働を開始しています。これは医療用のサイクロトロン(粒子加速器)を用いた核種(放射性同位元素)製造から、放射性医薬品による診断・治療・開発を一元化したもので、がんだけでなく認知症の診療にも大きく役立ちます。他にも、最新の高精度放射線治療装置の導入も予定されており、アジア屈指のがん診療拠点となるべく様々な整備を進めています。
また、病院全体でデジタル技術の利活用による医療DXや、AI 診断・IoT 等を活用したスマートホスピタル構想を推進することで、医療の質と患者さんの利便性を向上させるとともに、広域の病診連携の拡充、医療現場における職員の作業軽減、感染症対策など、社会の課題解決に寄与したいと考えています。
今後も藤田ならではの「やさしさの医療」と、安全で質が高く、大学病院として世界水準の先進的な医療の提供ができますよう、「チームFUJITA」一丸となり、地域社会、および医学・医療の進歩への貢献を目指してまいります。
白木 良一(しろき りょういち)
<学歴及び職歴>
1984年3月 慶應義塾大学 医学部 卒業
1984年5月 慶應義塾大学病院 研修医
1988年5月 国家公務員共済組合 立川病院 医員
1992年4月 ワシントン大学セントルイス(米国)外科 客員研究員
2014年11月 藤田保健衛生大学医学部腎泌尿器外科 講座教授
2016年2月 藤田保健衛生大学病院 副院長
2021年9月 藤田医科大学病院 病院長
※2018年10月10日より藤田医科大学へ名称変更