先進医療について

先進医療とは、厚生労働大臣から承認を受けた、大学病院などの限られた医療機関でのみ行われる一般の診療で認められている医療の水準を超えた最新の医療行為のことをいいます。

多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術

目的

高齢化社会を迎え白内障手術対象となる中高年者が増加するとともに、社会的活動に参加する機会が増えています。それに伴い、眼鏡装用の機会をできるだけ少なくすることが望まれるようになってきました。このような目的に対して開発された眼内レンズが,多焦点眼内レンズです。

技術の内容

これまで白内障手術の際に挿入する眼内レンズは、単焦点レンズのみでした。単焦点レンズは、ある1点に焦点が合うレンズです。そのため、近方か遠方のいずれかに焦点が合うのみで、ほとんどの場合、手術後に眼鏡が必要となります。例えば、遠方に焦点がある単焦点レンズを挿入した患者様は、車の運転やゴルフの際には眼鏡が必要となりませんが、本や新聞を読む時、パソコン画面を見たい時には近用眼鏡(いわゆる老眼鏡)が必要となります。一方、多焦点レンズは、単焦点レンズと異なり、近方と遠方の両方に焦点を持つレンズであるため、患者様の眼鏡装用の機会が軽減されます。ただし、術後に「かすむ」や「ぼやける」などの症状が出現することがあるので術前に主治医とよく相談して決めることが大切です。

  • 多焦点眼内レンズ

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コレステロール結晶塞栓症に対する血液浄化療法

コレステロール結晶塞栓症とは

大動脈やその他の大きい血管の内側にコレステロールなどが沈着して粥状の塊(プラーク)ができると、血管の弾力性が失われたり、血管が狭くなったりして、血液の流れが悪くなります。この状態を動脈硬化と言います。動脈硬化を起こした血管内のプラークが何らかの理由で壊れ、その中にあったコレステロール結晶が血液の流れによって運ばれ、腎臓やその他の臓器あるいは手足の小さな動脈に引っ掛かると、その場所に炎症を引き起こしたり、その小さな血管を塞いだりします。その結果、コレステロール結晶が引っ掛った血管の先には血液が行き渡らなくなり、腎臓などの重要臓器で重い障害が引き起こされます。このような疾患がコレステロール結晶塞栓症です。

治療の内容

この治療では、「リポソーバー LA-15」という医療機器を使用していただきます。リポソーバー LA-15は、血液中の悪玉コレステロールであるLDLを取り除くことを目的に開発された医療機器ですが、炎症に関る物質を吸着して炎症を抑制する効果もあることが報告されています。治療は2~3時間かけて、合計約3リットルの血漿を循環し浄化します。

放射線照射前に大量メトトレキサート療法を行った後のテモゾロミド内服投与及び放射線治療の併用療法並びにテモゾロミド内服投与の維持療法

適応症

初発の中枢神経系原発悪性リンパ腫(病理学的見地からびまん性大細胞型B細胞リンパ腫であると確認されたものであって、原発部位が大脳、小脳又は脳幹であるものに限る。)

目的

対象症例は、初発中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)に対する照射前大量メトトレキサート療法(HD-MTX療法)+テモゾロミド(TMZ)併用放射線療法+維持TMZ療法が、標準治療である照射前大量メトトレキサート療法(HD-MTX療法)+放射線治療に対して優れていることをランダム化比較試験にて検証する。

難治性高コレステロール血症に随伴して重度尿蛋白を呈する 糖尿病性腎症に対するLDLアフェレシス療法

難治性高コレステロール血症に随伴して重度尿蛋白を呈する糖尿病性腎症に対するLDLアフェレシス療法とは

糖尿病性腎症は日本における新規血液透析療法導入の第一位の原因疾患である。
とりわけ、重度尿蛋白を伴うネフローゼ状態の持続は早期に腎機能を低下させ、短期間に末期腎不全に至るリスクを高めることが知られている。しかしながら、第一選択薬のステロイド剤は糖尿病性腎症には禁忌であるため炎症に対しては免疫抑制剤等の選択により代替するが、腎負担との兼合いから、病勢コントロールに難渋することが多い。
また、重度尿蛋白を伴う糖尿病性腎症では高コレステロール血症の合併が多く認められ、LDLコレステロールは糸球体への脂質沈着による腎障害を引き起こすことから、総合的な治療が重要となる。
かねてより、腎疾患等に対してアフェレシス療法が施行されているが、LDLアフェレシスは難治性高コレステロール血症に対して国内薬事承認を受けており、家族性高コレステロール血症、閉塞性動脈硬化症、巣状糸球体硬化症に保険適用がある。同様に、重度尿蛋白を伴う糖尿病性腎症治療に係る実績並びに臨床研究報告もあり、LDLコレステロールの低下に加え血清クレアチニンやアルブミン等の改善並びに尿中蛋白やポドサイトの低下、生命・腎予後の改善(2年間の生命・腎機能維持率95%)が確認されていることから、有望な治療法として期待されている。

概要

本件は、重度尿蛋白(3 g/day以上、又は尿蛋白/尿クレアチニン3 g/gCr以上)を伴い血清クレアチニンが2 mg/dL未満、薬物治療下で血清LDL-コレステロールが120 mg/dL以上である糖尿病性腎症患者を対象として、LDLアフェレシス治療の有効性及び安全性を評価する多施設共同単群試験である。リポソーバーを用い、LDLアフェレシスを施行する。原則として、登録後2週間以内にLDLアフェレシスを開始し、これまでの報告に沿って、6から12回を12週間以内に施行する。なお、LDLアフェレシス開始以降のLDLコレステロールや尿蛋白等の低下推移や全身状態の変化等が多様であり、上記のとおりこれまでの報告に沿い6から12回までで総合的に施行回数を判断するため、被験者毎にその回数が異なる。標準的には、1回の施行時間を2~3時間、血漿処理量を約3,000 mL(目安:体重kgあたり血漿処理量50 mL)、施行間隔を2~7日とするが、被験者の体重や状態により調節する。抗凝固薬は、ヘパリンを標準的に使用する。ブラッドアクセスは、直接穿刺又は留置カテーテルにて行う。

効果

重度尿蛋白の改善、透析導入の回避・延長等が期待できる。

血漿中LDLをデキストラン硫酸をリガンドとする担体に吸着し選択除去する。
  • LDL,VLDL,Lp(a)に対し,高い選択的吸着能を有している。
  • HDLはほとんど減少しない。
  • 脂質以外の液性因子の除去(論文報告)
  • アルブミン等の主要な血漿蛋白質にほとんど影響を与えない。



リツキシマブ点滴注射後におけるミコフェノール酸モフェチル経口投与による寛解維持療法

適応症

特発性ネフローゼ症候群(当該疾病の症状が発症した時点における年齢が十八歳未満の患者に係るものであって、難治性頻回再発型又はステロイド依存性のものに限る。)

概要と目的

小児のネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群は、腎臓から尿中に蛋白が大量に漏れるために浮腫む状態ですが、小児ネフローゼ症候群の多くは、副腎皮質ステロイド薬による治療で改善します。しかし、薬の減量や中止とともに再発を起こしやすく、再発を繰返す例(頻回再発型/ステロイド依存性)では、長期間のステロイド薬治療による副作用(成長障害、骨粗鬆症など)が問題となります。このような患者さんに対して、ステロイド薬からの離脱を目的として種々の免疫抑制薬が用いられてきましたが、十分に有効でかつ安全な治療法がなく、頻回再発型/ステロイド依存性を呈する難治性ネフローゼ症候群に対する新しい治療が望まれていました。

リツキシマブ療法とミコフェノール酸モフェチルによる維持療法

近年、小児難治性ネフローゼ症候群に対して有効性が明らかにされたリツキシマブ(末梢血B細胞を除去する)治療により、ステロイド薬や免疫抑制薬の減量や中止が可能となりました。しかし、リツキシマブにより除去された末梢血B細胞が回復するとともに再発する傾向があるため、リツキシマブ治療後の再発を防止する方法が検討されてきました。
この先進医療で用いるミコフェノール酸モフェチル(以下:MMF)は、わが国では現在、ネフローゼ症候群の治療薬としては承認されていませんが、末梢血B細胞の増殖を抑制する働きがあり、リツキシマブ治療後のMMF内服による再発予防効果が期待されています。
この先進医療では、小児難治性ネフローゼ症候群の患者さんをリツキシマブ治療後にMMFを内服する群と対照薬を内服する群の2群に分け、それぞれのグループの寛解を維持する効果(再発を抑制する効果)と安全性について評価します。

テモゾロミド用量強化療法

適応症

膠芽腫(初発時の初期治療後に再発又は増悪したものに限る。)

概要

  • 初回再発および増悪膠芽腫に対して、用量強化テモゾロミド療法とその再発後のベバシズマブ療法の優越性を標準治療であるベバシズマブ療法とのランダム化比較試験にて検証する。
  • テモゾロミドとして1回120 mg/m2(体表面積)を1日1回連日7日間、経口投与し、7日間休薬する。この14日を1コースとし、最大48コース繰り返す。3コース目に増量規準を満たした場合は1回150 mg/m2に増量する。なお、テモゾロミドの投与は外来(通院)で行う。

ニボルマブ静脈内投与及びドセタキセル静脈内投与の併用療法

適応症

進行再発非小細胞肺がん(ステージがIIIB期、IIIC期若しくはIV期又は術後に再発したものであって、化学療法が行われたものに限る。)

概要

従来の標準治療であるニボルマブ単剤にドセタキセルを加えることで、免疫チェックポイント阻害薬に化学療法の上乗せ効果が期待できる可能性があり、試験治療であるニボルマブ+ドセタキセル併用療法の優越性を標準治療であるニボルマブ単剤療法とのランダム比較試験にて検証する。

マルチプレックス遺伝子パネル検査(先進医療症例登録終了しました)

概要と目的

近年、がん細胞が増殖したり、他の臓器に転移したりする仕組み(メカニズム)が、様々な方法によって次第に明らかにされてきました。従来用いられてきた抗がん剤に加えて、特定のメカニズムに関わるタンパク質等の働きを抑えることで効果が出る薬剤(分子標的薬)が数多く創られ、いくつものがんにおいて治療成績の向上につながっています。
しかしながら、同じ種類のがんに対する同じ抗がん剤の治療でも、効果や副作用の出方には患者さん毎に差があります。がん細胞に起きている遺伝子の後天的な変化(「体細胞遺伝子変異」と呼ばれます)に違いがあることや、抗がん剤を吸収・輸送・代謝・排出するタンパク質を作る遺伝子に生まれつきの個人差(「遺伝子多型」もしくは「生殖細胞系列遺伝子変異」と呼ばれます)があることなどが理由と考えられています。最近の大規模な遺伝子解析研究により、治療効果と関係すると思われる遺伝子変異が次々と発見されてきています。
この先進医療「マルチプレックス遺伝子パネル検査」の目的は、がんに関わることが知られる多くの遺伝子を1度に調べ、抗がん剤治療の選択に役立つ遺伝子変異がどのくらいの患者さんにみられるかを明らかにすることで、遺伝子プロファイリング(遺伝子の後天的な変化を抽出すること)の有用性を確かめることです。