アジアのがん診療・研究拠点を目指して

当院では、個々の遺伝子情報に基づく「がんゲノム医療」や、核医学を基盤に診断と治療を一体化させた「セラノスティクス」など、先端的ながん治療を積極的に導入しています。さらに、がん治療の新たな可能性を切り拓くべく、2026年度からは次世代の放射線治療である「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」の導入に向けたプロジェクトも本格始動しました。こうした高度な治療を通じて難治性がんの克服に挑むとともに、診療・研究・人材育成を三位一体で推進することで、アジア屈指のがん診療・研究拠点をめざします。

 

がんゲノム医療

がんゲノム医療とは、がん細胞の遺伝子変異を解析し、その情報に基づいて最適な治療法の選択や予後予測、発病予防などを行う個別化医療の一つです。がん遺伝子パネル検査でがん細胞の数十から数百の遺伝子を一度に調べ、その結果をもとに臨床医や薬物療法・病理・分子生物学の専門家らが検討会(エキスパートパネル)を開き、患者さん一人ひとりに適した治療方針を導きます。遺伝性腫瘍が疑われる場合には、血縁者も含めた継続的な健診や予防医療の支援も行います。

ホウ素中性子補足療法(BNCT)

BNCTは、ホウ素と中性子の核反応を利用した新しい放射線治療です。がんに集まる性質を持つホウ素薬剤を点滴し、外から中性子を当てることで、がん細胞のみをピンポンイトで破壊します。発生する粒子が飛ぶ距離はごく短く、細胞1個分程度であるため、周囲の正常組織への影響を抑えながら治療できる点が特徴です。現在は、切除不能または再発の頭頸部がんにのみ保険適用されていますが、本学では体の深部のがん治療に応用するため、2026年より専用施設の建設を開始。2028年夏には臨床研究を開始する計画です。