当院は東海・北陸地区の臓器提供、臓器移植の中心的施設で、腎臓移植、膵臓移植、肝臓移植、肺移植に多くの実績を有しています。日本初の生体膵臓移植(膵腎同時)に成功し、世界で初めてABO不適合生体膵臓移植を執刀した臓器移植科の剣持教授をはじめ、膵臓移植は国内トップレベルの症例数です。2009年3月から、2025年3月まで123件(脳死120件、心停止1件、生体2件)であり、成績も良好です。
中部地方初膵島移植実施施設に認定
2022年3月、中部地方で初めて、保険医療認定施設としては全国で3番目となる膵島移植の実施施設に認定されました。膵島移植は、内科的治療(インスリン療法)を行っても、低血糖などが頻回に起こる1型糖尿病患者さんを対象として、脳死または心停止提供の膵臓から膵島を抽出して、肝臓の血管に移植する細胞療法です。臓器移植と異なり、手術が不要で局所麻酔のみで行えるため、痛みや合併症はほとんどなく、安全な移植治療法です。臓器移植科の剣持教授を中心にチームで膵島移植に取り組みます。
中部地方初の膵島移植を実施
2024年10月5日に中部地方で初となるインスリン依存性糖尿病(1型糖尿病)に対する「膵島移植」を実施しました。膵島は、インスリンを分泌する「β細胞」をはじめとした直径約50~500μmの細胞の塊で、成人一人あたり約100万個存在するといわれています。糖尿病の患者さんの中には、膵島が機能しなくなり、血糖値を下げるインスリンを注射で補っても血糖値が不安定で意識障害などの低血糖発作を起こす方がいます。膵島移植は、それらインスリン依存性糖尿病(1型糖尿病)の患者さんを対象とした画期的な治療で、2020年4月に保険収載されました。脳死もしくは心停止ドナーから提供していただいた膵臓から膵島細胞を集め、それを分離して浮遊液にし、局所麻酔により肝臓の門脈という血管から点滴投与で移植します。膵島移植は膵臓移植と異なり、外科手術が不要で、所要時間も15~30分と短く、患者さんの体への負担が軽いことが特長です。1回の移植で生着しない場合は繰り返しの移植も可能です。さらにステロイド不使用のため、骨密度の低下といった副反応が少なく、インスリン療法からの離脱を図れる画期的な治療法として注目されています。今後とも継続して丁寧な診療を提供してまいります。