パーキンソン病センター

わたしたちは、「総合的に最新で最善の医療を提供」できる、「地域と一体化した大きな病院としての」センターを目指しています。
(予約制:毎週月曜日、木曜日の午後)

コンセプト

わたしたちは、パーキンソン病をお持ちの方やご家族に、
  1. 地域と一体化しつつ最新で最善の医療を提供して笑顔を増やすこと
  2. 豊かで実りある人生に貢献すること
  3. 明るく希望に満ちた未来を作ること

に向けて努力を重ねていきたいと思っています。

なぜパーキンソン病センターが必要なのでしょうか?

理由1.地域と一体化しながら最新で最善の医療を受けていただくために

パーキンソン病の治療は、薬物療法とリハビリテーションが両輪であり、ご自身の病状や社会的状況に合わせて様々な選択肢が出てきました。さらに、デバイスを用いた治療も急速に進歩しています。一方で、あまりに種類が多くて、何を選べば良いのか分からないという声を、患者さんはもちろんですが、医師からも聞くようになりました。

実際、パーキンソン病では、運動症状を1つとっても、ふるえる、筋肉や関節が硬くなる、動作がゆっくり、足の運びが悪い、すくむ、ころぶ、薬の治療効果が悪くなった、体がくねくねと動く、体が傾く、首が下がるなど様々な症状を認めうることが知られていますが、一人の方に全ての症状が出るわけではありません。また、その程度も多様です。100人みえれば100通りの症状の内容や程度の組み合わせがあると言っても良いかと思います。

さらに、運動症状以外にも、気分がすぐれない、排尿回数が多い、便秘、立ちくらみ、疲れやすい、体が痛む、二重に見える、幻視がある、物忘れがでてきた、衝動的な気持ちが出てきたなど一般に非運動症状とよばれる、症状で困ってみえる場合もあります。

このような極めて多様な課題に適切に対応するには、専門家による診察とともに、診療科の垣根を越え、脳神経内科だけでは提供できない治療や診療を含めて、最適な治療を提供できる体制整備が世界的にも望まれています。幸い、藤田医科大学脳神経内科は、リハビリテーション科、消化器内科、麻酔科をはじめ、パーキンソン病の統合的な治療で重要となる様々な診療科から良好な協力をいただいて診療を展開しています。

一方で、専門性が高く、また細分化されているので、実際にどのような医療があるのか、その医療を受けることが出来るのかなどが分からないという声をよく伺います。そこで、パーキンソン病の方が受診される窓口を1つにし、専門知識を有する医師が対応し、このような疑問に答え、「総合的に最新で最善の医療を提供」できることをめざし、センターを開設いたしました。

また、地域の病院と連携し、それぞれの医療機関が持っている強みを活かしながら患者さんに適切な医療を提供できる「地域と一体化した大きな病院としてのセンター」も目指しています。

理由2.豊かで実りある人生に貢献するために

豊かで実りある人生を送っていただくために、私たち脳神経内科医は、一般に生活の質 (QOL) の向上を1つの指標としています。パーキンソン病におけるQOL評価では、移動する力の維持、日常生活活動の維持、情緒面の安定、社会的支援の充実、良好なコミュニケーション、身体的な不快の少なさ(痛みがないなど)などをバランス良く整えることが大切とされています。

私たちは、外来および入院における薬剤調整、必要に応じたデバイス補助療法の導入、リハビリテーション、地域連携、勉強会の開催、冊子やネットを介した情報提供、パーキンソン病の知識を豊富に有した医療従事者の増加などを通じて患者さんとご家族のQOL向上を図りたいと考えています。昨年も90名のパーキンソン病の患者さんが入院され、様々な状態の改善を試みました。また、海外で良いとされていながら日本では普及していない治療や対処方法なども積極的に導入していきたいと考えています。

理由3.明るく希望に満ちた未来を作るために

パーキンソン病は多くの優れた治療薬が出てきており、天寿を全うできる患者さんも増えてきました。一方で、病気の進行を食い止める、最終的にパーキンソン病という病名を地上から無くす治療薬の開発は世界共通の望みです。そのためには、治療薬の開発研究を進めることが大切です。

私たちは、治療法開発ならびに早期診断方法開発へ向けて複数の研究を精力的に進めています。また、日本国内における臨床研究、臨床治験、国際共同研究、国際共同治験も積極的に関わっていく予定です。

パーキンソン病は、現在の精一杯の治療と、5年先、10年先の精一杯の治療の位置づけは、大きく変わっている可能性のある病気ですし、大きく変えることに私たちも貢献したいと願っています。まずは、現在をできる限り良くすることを考えながら、ご自身の将来の希望を持っていただきたいと願っています。

センターの特色

1 得意領域融合型で全身病としてのパーキンソン病のフルステージに対応し、正確な診断に務めます

パーキンソン病治療の第一歩は正しい診断から始まります。当センターでは、経験豊富な医師による診察に加え、放射線科をはじめ複数の診療科と連携し、藤田医科大学の有する最先端の検査機器を用いて正確な鑑別診断に務めます。

薬剤の適切な選択に務めます
数多くあるパーキンソン病治療薬の中から、病状に合わせて最適な組み合わせを検討します。特に早期の薬剤選択や使用量も長期に良好な状態を維持する上で大切となります。   

薬剤の適切な内服方法をお伝えします
例えばL-ドパは食事と一緒に、あるいは食直後に内服すると効果が著減する可能性があります。貼り薬の貼り方にもコツがあります。その薬剤の効果を最大限に発揮しましょう。

非運動症状に対して薬剤を最適化していきます
非運動症状における薬剤の最適化は、薬を減らすことも含まれます。

2 非薬物療法の適切な指導に務めます

パーキンソン病で認めうる多彩な非運動機能異常に対応できるよう、適切な情報の提供、指導をさせていただきます。また、ご病状に応じたご自宅でできる運動療法の指導やリハビリテーション科へのご紹介を行わせていただきます。さらに、社会的支援を適切に受けていただくことも大切です。特定疾患指定難病、肢体不自由、介護保険などについても相談を受けています。

3 難治性の病態へのチャレンジを試みます

いまだ良い治療法の無い病態の改善に挑みます。
姿勢異常に対しては、薬剤の適正化、リハビリテーション、必要に応じた注射療法などを試みています。認知症や精神症状は、全面的解決にはつながらない場合も多いですが、問題症状を少しでも軽減出来るように努めています。すくみ足や歩行障害に対しては、正確な病態評価、薬剤の適正化、リハビリテーションなどを組み合わせて対応を進めています。
必要に応じたデバイス補助治療の導入に努めます。

4 デバイスを用いた治療も行います

ウェアリングオフやジスキネジアといった運動合併症に対しては、消化器内科と連携して、レボドパカルビドパ経腸療法 (LCIG) を行っています。内視鏡を用いて胃ろうを作って、空腸までチューブを挿入し、そのチューブに体外式のポンプをつないでレボドパ・カルビドパ製剤を持続的に投与するデバイス補助療法です。L-ドパの血中濃度を一定に保つことができるため、運動症状を大きく改善させることが期待できます。
 
痛みに対しては、麻酔科と連携して脊髄刺激療法も行っています。パーキンソン病の方では70%以上に痛みを認めるとの報告もあります。最近、脊髄刺激療法には、痛み以外にも効果が期待されることが、海外から報告されています。
 
センターの渡辺は、前任地において脳深部刺激療法症例の適切な選択に長年にわたって携わってきました。その経験を活かして、脳深部刺激療法が望ましい方は、お住まいの場所なども伺いながら、適切な手術可能な施設を紹介させていただきます。

5 より良い診療を目指して連携の強化と促進に務めます

診療連携施設、連携医の強化
地域医療連携とは、地域の医療機関がそれぞれ持っている医療機能や専門性を活かして役割を分担し、医療機関同士が協力をして連携を図りながら患者さんに適切な医療をその地域で提供することです。
 
たとえば、パーキンソン病以外の、生活習慣病の管理、感冒時の対応などは、ご自宅から近くのクリニックや診療所へ受診していただくことが利便性が高いと思います。診療情報の共有をできる限りタイムラグなく出来るように努力していきます。
 
当院で検査や治療を受け、状態が安定された状態になれば、ご紹介をいただいたクリニックや診療所へ戻っていただき、必要に応じて当院を受診していただくように致します。
 
定期的勉強会の開催とパーキンソン病を持つ方々との交流促進
地域におけるパーキンソン病に関する勉強会を定期的に開催していきます。また、パーキンソン病の友の会に長年にわたって携わってきましたが、これからも、患者さん同士の交流や、正しい情報提供に努めていきます。さらに、ご希望のある方には患者さん同士の国際交流促進も進めてまいります。
 
国際連携の強化
国際共同研究を推進していきます。国際共同治験、共同研究の準備を進めています。また、国際的な研究者に参画してもらい、アドバイスもいただきながら、世界標準の診療が出来る体制整備をすすめていきます。さらにこれまでの国際連携の実績を活かし、ウィズコロナの時代に見合った、新しい国際交流を推進します。

6 診断と治療方法の開発促進

ふじた神経疾患レジストリ
藤田医科大学脳神経内科では、特定疾患(指定難病)の患者さんの治療内容や治療経過、さらに画像や血液などの情報を管理するデータベース(レジストリ)の構築を推進しています。患者さんのレジストリは、治験や、ランダム化比較試験の推進にもつながると期待されています。例えば、治療試験を計画する時の実施可能性の調査として、外部対照群として、レジストリ内の臨床試験として、製造販売後の調査として用いることで画期的な診断や治療法の開発に寄与することが期待されます。
 
創薬研究
ふじた神経疾患レジストリを軸として、高い品質管理に裏打ちされ、十分な水準で信頼性が担保されているデータを用いて、創薬研究を進めています。藤田医科大学には、共同利用研究設備サポートセンターをはじめ、とても高いレベルでデータを解析する施設が沢山あり、基礎研究室とも連携しながら、進行を緩やかにできるような、また食い止めることができるような治療薬を開発していきたいと思っています。
 
臨床治験の推進
当センターでは、今後、臨床治験も推進していく予定です。新しい治療を受けてみたい、新しい治療に協力したいと思っていただける方はご相談ください。