麻酔科・ICU(集中治療部)・ペインクリニック

病棟の場所 A棟3階(ICU) 外来の場所 B棟1F 麻酔科・ペインクリニック外来
外来棟1F 術前(周術期管理センター)
Webサイト 麻酔・侵襲制御医学講座Webサイト

診療内容

主な対象疾患

院内の「重症患者の全身管理」を行います。
手術室では、全ての全身麻酔症例と、リスクの高い合併症を持つ患者の局所麻酔手術の術中管理を行っています。手術室以外でも、リスクの高い合併症を持つ患者の内視鏡検査や放射線治療などにおいても、必要に応じて処置中の全身管理を行っています。
集中治療室(ICU)では、集中治療専門医が中心となって、内科系外科系に関わらず、また全年齢層の重症病態の患者さんの全身管理を行っています。通常の人工呼吸管理では救命困難でECMOの適応のある患者は、院外からも直接紹介を受け付けています。
院内急変対応医療チーム(Medical emergency team: MET) を組織し、全病棟の入院中の急変に対応しています。

目標・基本理念・基本方針

目標

周術期医療では周術期患者安全と予後と患者満足度の向上、手術室運営の効率向上を目標としています。ICUでは重症患者に対するhospital in hospital(患者さんは調子が悪くなったら病院に来て各診療科を受診します。病院の中で更なる高度な医療が必要になった時、各診療科の医師から依頼を受け、我々がICUで患者さんの全身管理を行います。)の役割を果たすこと、ペインクリニックでは難治性慢性疼痛の軽減による生活の質改善に寄与することを目標としています。

基本理念

「教育こそすべて:Education is everything」をスローガンに、臨床・教育・研究の3 本柱の体制を有機的に機能させることを基本理念としています。

基本方針

全身管理のプロフェッショナルとして、さらに、多職種チーム医療のリーダーとして責任を果たすことに重点をおいています。周術期管理では、周術期の患者安全と予後の向上および手術室の運用効率向上を目標とし、周術期管理センターでの多職種によるリスク評価とリスク軽減へ向けた介入、術前リスクに基づいた麻酔中の安全な全身管理や術後疼痛管理を推進しています。ICU は、hospital in hospital としての責任が果たせるよう、全科全年齢に対応し、VV ECMO やPCPS などの体外循環、急性期からの積極的な栄養管理と早期リハビリテーション、急性血液浄化療法など高度先進的な治療を含む滴定治療で、重症患者の救命率向上を目指しています。また、院内急変対応医療チーム(Medical Emergency Team: MET)の体制を整え、院内急変に対応いたします。ペインクリニックでは、慢性疼痛の軽減による生活のQOL 改善に寄与することを目標に、内服やブロックのみならず脊髄刺激装置挿入なども行います。

診療の特色

周術期管理

手術を受ける際には、身体にかかる侵襲を抑えるために適切な麻酔が必須です。術後の合併症の多くは術前から患者さんがもつ合併症に起因するといわれていますので、周術期管理センターにおける術前リスク評価およびリスク軽減に向けての介入を行い、リスクを加味した術中管理により患者安全を支えるのが麻酔科の仕事です。また、術後の痛みに適切に対処することも術後経過を良好にするために重要ですので、術後鎮痛を視野に入れた術中管理を行います。さらに、術後の予後向上にむけて、専任の管理栄養士とともに術前(自宅での)栄養補充療法にも取り組んでいます。

集中治療室

院内の最重症患者の治療を行うユニットです。当院 ICU は、全身管理のプロフェッショナルの集中治療医が中心となって管理しています(closed ICU)。各科主治医や多職種の方々との綿密な連携の元に、ICU 専従医がチーム医療を集約し、重症患者の最後の砦として、質の高い安全な滴定治療を行っています。
さらに、同フロアにあるHCU(ハイケアユニット)はICUの後方ベッドとして、ICU患者より重症度の低い患者が入り、各診療科管理で治療が行われますが、HCU患者の急変対応や治療相談も行います。

ペインクリニック

帯状疱疹関連痛・腰痛のみならず、がん性疼痛など、あらゆる痛み疾患の治療を行っています。生活の質向上を目指すことができるよう、患者さんに寄り添う治療を行っています。

得意とする治療・高度な医療・特徴的な医療

術中麻酔管理のみでなく、集中治療の経験も豊富に積んでいるため、高度な全身管理を要する手術や従来では手術をためらわれたような症例においても安全に手術を行うことが可能です。特に「急性血液浄化」「経空腸栄養」「早期リハビリ」「V-V ECMO」の4つは、我々の重症治療を前進させる“4輪駆動”とも言える治療です。それぞれの機能が連携し合うことで、どれほど険しい病態であっても、患者さんを回復というゴールに向けて、力強く、確実に導く推進力となります。

急性血液浄化療法

腎不全に対しての適応だけでなく、敗血症や肝不全など多臓器不全を引き起こす重症病態に対して、病態に応じた様々な血液浄化療法を施行しています。

経”空腸”栄養

重症患者は自分で食事をとることができません。胃に入れた管から流動食を投与する経”胃”栄養は、重症患者では吸収が悪く、嘔吐や誤嚥をしたり、他の治療の妨げとなることがあります。管の先端を、胃を越え、十二指腸を越え、空腸まで入れることで、安定した吸収と逆流の予防が期待でき、確実な栄養摂取が可能になります。

早期リハビリテーション

重症患者に対し、救命のみでなくICU退室後の予後改善も考慮し、重症病態の急性期から積極的なリハビリテーションを行っています。V-V ECMOや急性血液浄化を施行しながらのエルゴメーターや立位などを行います。患者の退院後予後を見据えたPICS(post intensive care syndrome: 集中治療後症候群)カンファを行っています。
 

V-V ECMO(体外式膜型人工肺)

従来の人工呼吸管理による治療法では救命困難な重症呼吸不全に対して行います。手術麻酔に還元することで、外科医により安全で安定した術野の供給も可能になりました。
さらに、ECMO を装着したままで患者を搬送できるECMO carも導入し、重症すぎて移動ができない患者に、前医でECMOを導入することで安全な搬送を提供します。他にも、移植を要する患者など、他院間の広域搬送にも地域貢献として協力しています。

診療実績(2024年)

項目 件数
麻酔科管理症例 8,700
開頭手術 404
開胸手術 321
開胸+開腹 57
心臓・大血管 684
帝王切開 341
小児(6歳未満) 328
周術期管理センター術前受診 7,360
ICU入室 1,329
METによる入室 113
緊急手術後入室 126
ICUにおける人工呼吸管理 576
ECMO(VA、 VV合わせて) 19
IABP 34
間歇腎代替療法
HD、HDF、 SHEDD-fAなど
210
持続腎代替療法
CHDF、 CHF、CHDなど
113
血漿交換、吸着療法など 20