ごあいさつ
私どもの施設は、総合周産期母子医療センターとして、リスクの低いとされる正常妊娠と分娩をはじめ、赤ちゃんやお母様にリスクや悩みのあるリスクの高い例の管理まで、すべての妊産婦様とパートナー様が新しい命を授かり、育むことができますよう、妊娠・出産・育児を総合的にサポートいたします。
当院では、安心安全で質の高い医療と助産を提供できますよう、産婦人科医・小児科医・麻酔科医・助産師・看護師・ソーシャルワーカーがチームで活動し、最新の設備のもと、自然分娩や帝王切開分娩をはじめ、助産師による院内助産や無痛分娩、さらには産後ケアに至るまで、皆様のさまざまなご要望にお応えし、個々の環境やリスクに合わせた対応を行なっております。
総合周産期母子医療センター
センター長
センター長
関谷 隆夫
受診の流れ
分娩について
安心なお産をスペシャリストチームでサポート
当院の総合周産期母子医療センターでは妊婦さんとご家族が心身共に健やかに、希望されるバースプランを実現できるよう、さまざまな医療サポート体制を持っています。妊娠~出産に至るまでの全てのステージで、担当するスタッフは全員が専門のスペシャリストです。体調、分娩、出産後どんな小さなことでも気になることがあれば安心してご相談ください。
自然分娩
大学病院ならではの安心感と寄り添いで自然なお産を支援します
自然に始まる陣痛の力で出産(経腟分娩)する方法です。当院では自然分娩を大切にしています。妊婦さんとご家族の出産に対する思いを「バースプラン」という形で尊重し、妊婦さんと赤ちゃんが安全かつ快適に出産を乗り越えられるよう、経験豊富な産科医と助産師が協力してサポートします。
医療的介入は原則として行わないのが自然分娩ですが、出産にはトラブルが突然発生することが少なくありません。医学的適応に応じて陣痛促進や会陰切開、器械分娩(吸引分娩・鉗子分娩)などを行い、妊婦さんと赤ちゃんの安全をお守りします。
当院は大学病院ですが、合併症をもつ妊婦さんのみならず、特別なリスクのない妊婦さんも受け入れており、どなたにも万全の体制のもとで出産していただけます。
帝王切開
確かな選択で新しい命を迎えます
何らかの理由で経腟分娩が困難な場合に、お腹と子宮を切開して出産する方法です。当院の設備が整った手術室で、安全に安心して出産に臨んでいただけます。
帝王切開には、妊娠中にリスクを評価して予定する選択的帝王切開(既往帝王切開術後妊娠、前置胎盤、多胎、骨盤位など)と、妊娠中あるいは経腟分娩中に危険が生じて行う緊急帝王切開(胎児機能不全、分娩停止、妊娠高血圧症候群など)があります。
重症胎児機能不全などで一刻も早い分娩を目指す超緊急帝王切開術にも対応しています。小児科医や麻酔科医と連携し、24時間365日緊急対応が可能な体制を整えています。麻酔は原則として腰椎麻酔( 下半身麻酔)で行い、産まれたばかりの赤ちゃんの顔を見て産声を聞くことができます。医学的理由で腰椎麻酔が実施できない場合は全身麻酔となります。 無痛分娩
一人ひとりに対応した、痛みを和らげる出産を目指します
麻酔薬を用いて痛みを和らげながら出産(経腟分娩)する方法です。硬膜外麻酔という、背骨の間から挿入したカテーテルから麻酔薬を投与する鎮痛法で、陣痛や会陰(おしも)の痛みを和らげることでリラックスして出産に臨むことができます。出産に伴う疲労を軽減することで、その後の育児をスムーズに始めることができます。
医学的理由により陣痛に伴う血圧上昇が大きなリスクとなる妊婦さんでは、硬膜外麻酔によりそのリスクを軽減させることができます。
当院では計画無痛分娩として実施しており、妊娠経過を踏まえて最適な日程を調整します。安全を最優先するため、夜間・休日や重症患者対応時等には実施できない場合があることをご了承ください。また、麻酔にはデメリットも伴いますので、希望する場合は外来担当医とよく相談して決めていただきます。 院内助産
安全な環境で産婦さんと家族で迎える出産をフルサポート
当院では定期的に妊婦健診を受け、医師の許可があるかたを対象に院内助産“SAんBA”での出産を行っています。院内助産では、お母さんが本来持つ「自ら産む力」と、赤ちゃんが持っている「生まれてくる力」を最大限に引き出して、安心と共にご満足いただけるような自然な「お産」を提供しています。
妊婦健診は医師と助産師とで交互に行い、何か異常があれば24時間365日、医師が対応します。助産師による健診のなかで、妊婦さんやご家族の意向を尊重しながら、希望する出産について一緒に考えます。産婦さんひとりひとりに寄り添い、リラックスしてお産や育児ができるようにサポートします。また、大学病院の中の助産院なので、さまざまな職種の専門スタッフによるケアを受けることが可能であり、安心して出産する体制が整っています。 妊婦健診
妊婦検診は、妊娠初期(~妊娠23週)には4週間ごと、妊娠中期(妊娠24週から妊娠36週)には2週間ごとに検診を行います。また妊娠後期(妊娠37週以降)には毎週ごとに検診にお越しいただきます。
入院中の過ごし方
出産のための入院期間は分娩方法により前後しますが、問題のないお産であれば自然分娩や無痛分娩で約4~6日間、帝王切開で6~8日間が目安となります。
入院中には、ママご自身の体の回復状況を確認します。分娩時の傷や子宮の状態を医師が診察します。体調で心配なことがあれば医師に何でも話してください。また、退院後の育児にスムーズに入れるよう、授乳や沐浴の方法や、おむつの替え方など赤ちゃんのお世話の仕方を学びながら過ごしていきます。
分娩の立ち合いについて
立ち会い分娩は、妊婦さんの不安や痛みの緩和、ご家族の絆や喜びを分かち合うことを目的とした分娩です。原則的に当センターでは分娩開始から産後1 時間程度(赤ちゃんとの面会)まで、妊婦さんの夫、パートナー、お子さん、ご家族のみ立ち会っていただけます。写真や動画の撮影も可能です。
- 立ち合いのタイミング等については当日、担当する助産師に直接ご相談ください。
費用について
分娩費用
正常分娩の分娩費用は約60~75万円(個室料金を含む)になります。分娩状況によって金額は前後しますのでご了承ください。出産育児一時金の利用ができます。
- 正常分娩は自費入院となります。
- 帝王切開は保険診療となるため、正常分娩とは費用の算出方法が異なります。保険診療では高額療養費制度がご利用できます。
- 無痛分娩は上記金額に+10万円となります。
- 院内助産の費用は正常分娩に準じます。
出産育児一時金制度
当院は直接支払制度を利用いただけます。各種健康保険に加入されていれば、赤ちゃん一児につき5 0 万円の出産育児一時金が支給されます。出産育児一時金の直接支払い制度を利用していただくと、実際にかかった出産費用との差額のみのお支払いで済ませることができます。
詳しくは入院受付<34番>へお越しください。 産後ケア事業
産後ケア事業とは、出産後のお母さんの育児不安や負担を軽減するため、宿泊や通所(日帰り)、訪問により、お母さんと赤ちゃんのこころとからだのケアや授乳指導、育児相談などを受けることができます。(事前に委託契約を行っている市町村であれば、産後ケア事業を受けることができます。)
- 各自治体によって利用料が異なります。
- 各自治体を経由して申し込みを行ってください。
- 別途、食事代、特別個室利用の場合の差額分など自己負担があります。