救急科

救急科では軽傷から重傷までのあらゆる四肢骨盤外傷の急性期治療を行っており、救急総合内科(主に内科系救急)、災害外傷外科(体幹部外傷や熱傷、中毒)と合同で救命救急センターの運営に当たっています。当センターは年間約9800台の救急車と20000人超のウオークイン患者の診療を担っており、救急車の応需率は99%を超えます。当院に於ける入院患者の25%は当センター経由です。

(四肢骨盤外傷について)
四肢骨盤外傷は救急搬送される外傷患者の大半を占め、とくに多発外傷に於ける四肢骨盤外傷は、その局所の治療だけでなく、他部位の外傷との兼ね合いから、総合的な治療戦略を立てなければなりません。当科では内科系救急医による全身管理の協力のもと、整形外傷に対する四肢外傷治療、骨盤寛骨臼骨折治療を担当し、術後リハビリテーションの早期介入による機能改善の獲得を目指しております。
特に重度な骨盤外傷初療に対しては、血行動態が不安定な場合は血管塞栓術と並行し救急外来での即時創外固定術を施行しており、重度四肢外傷においてもその場での創外固定を施行しております。「必要な治療・手術は今やる。待たない、待たせない。」が当科のモットーです。
さらに2019年10月より骨盤外傷を中心とした整形外傷を専門とする吉田医師の赴任に伴い高エネルギー外傷に伴う骨盤・寛骨臼骨折に対する高度な内固定手術の施行が可能となっております。骨盤・寛骨臼骨折手術においてはこれまでに100例以上の手術を経験しております。
これにより救急での初療(創外固定術、血管塞栓術)および最終内固定手術、その後の機能回復を目指したリハビリテーション治療の介入まですべて当科にて一貫した治療を提供することが可能となっております、骨盤・寛骨臼骨折手術に関しては高度な技術を要するため現在近隣の病院からも多くの手術適応の患者様の紹介をいただいております。当科では骨盤専用手術機器(及び専用ベッド)を常備しており、今後も近隣病院からの手術を要する患者様の受け入れを継続させていただきます。

(高齢者外傷、大腿骨近位部骨折及び脆弱性骨盤骨折)
さらに現在急激な高齢化にともない高エネルギー外傷のみでなく高齢者の軽微な外傷に対する迅速な治療・手術が日本の大きな課題となります。特に大腿骨近位部骨折(頚部骨折や転子部骨折)の患者数は2002年に年間11万人が2016年に20万人に倍増し、2030年には30万人になると予想されています。
高齢者の大腿骨近位部骨折は受傷直後から寝たきりの状態になってしまうため、急激な筋力低下を引き起こすのみならず、肺炎、肺塞栓、尿路感染、認知症の発生に直結し、高齢者にとっては内科的に生命を脅かす疾患となり得ます。
そこで欧州では24時間以内、米国では48時間以内に手術を行うことが原則となっております。 しかし現在日本においてこの原則をクリアしている施設は極めて少ない中当院では、内科系救急医の協力のもと、平均2。2日以内に手術を施行しており、リスクの高い患者に対しても各科と連携し安全に手術を提供できております。

現在大腿骨近位部骨折同様、高齢者の転倒後の脆弱性骨盤骨折(恥骨骨折を含む)症例も欧米を中心とした国内外で増加しております。今後2030年までにその症例数は3倍になると予測されており、今後大腿骨近位部骨折同様に高齢者のADLに影響を与える可能性があります。この骨折は転倒等のアクシデントが無くても高齢者において発生することがあり、しばしば診断に難渋します。

現在当科では脆弱性骨盤骨折においてもその治療に力をいれており、早期のリハビリ介入及び必要に応じて手術加療も積極的に適応を行っておりますので近隣の施設にてお困りの患者様がおられましたら是非当科へご紹介ください。

今後は、当科の方針に共感する救急医、整形外傷医、外傷外科医、あるいは整形外傷を学びたい若手医師、研修医で集い、更なるパワーアップを図り、外傷患者により良い医療を提供していきたいと考えています。


                 (寛骨臼骨折手術症例)



(高齢者脆弱性骨盤骨折手術症例)



‣ 救命救急センタースタッフ紹介

スタッフ紹介

教授
  • 田島 康介
准教授
  • 吉田 昌弘

教授紹介

  • 必要な治療・手術は今やる。待たない、待たせない。

    田島 康介

    教授

    Kosuke Tajima

    田島 康介

    専門・実績

    ●専門:骨折、外傷、救急医学、整形外科学
    ●資格など:日本救急医学会専門医、日本整形外科学会専門医、AO Trauma Japan評議員
    ●所属学会:日本救急医学会、日本整形外科学会、日本外傷学会、日本骨折治療学会、日本手外科学会、日本東洋医学会など
    ●受賞歴:
    2009年 第13回 “整形・災害外科優秀論文賞” 「当院における大腿骨近位部骨折手術患者の短期予後-整形外科・麻酔科・手術室の連携による早期手術の体制-」 【整形・災害外科51:839-846,2008】
    2009年 第60回 日本東洋医学会 “優秀ポスター賞” 「上腕骨外側上顆炎に対する桂枝茯苓丸の治療効果 〜局所の病態に関する一考察〜」
    2015年 8th Asian Conference for Emergency Medicine (アジア救急医学会) “Outstanding paper award" : Double traction method- An easy and safe reduction method for anterior shoulder dislocations, even for non-orthopaedic surgeons.
    2016年 3rd AOTrauma Asia Pacific Scientific Congress “Young Investigator Award" : A heart-shaped sleeve will simplify the insertion of intramedullary tibial nail in a suprapatellar approach.

    アピールポイント

    ・手術が必要な外傷患者に迅速な術前評価を行い、無駄な待機期間をなくし、早期手術を提供できるよう努めます。
    ・職種の垣根なく、周囲のスタッフと仲良く仕事をしています。また寝起き、寝付きがよいので、夜間の対応もばっちりです。