ロボット手術

国産手術支援ロボット「hinotori™ Surgical Robot System」

株式会社メディカロイドが開発した日本初の実用型手術支援ロボットです。手術器具や内視鏡を取り付けた4本のアームが特徴で、医師は患者さんの体から離れたサージョンコックピットで内視鏡の立体画像を確認しながら遠隔でアームを操作し、精緻な手術を行うことができます。2023年10月、本学から約5000㎞離れたシンガポール国立大学と手術支援ロボットhinotori™を用いた遠隔手術の実証実験を4日間にわたって実施しました。実証実験では、人との類似性が高いブタを用い、シンガポール国立大学に設置されたサージョンコックピット(操作台)から本学のhinotori™を操作し、幽門側胃切除・リンパ節郭清・残胃十二指腸吻合を行い、無事、成功しました。今後も遠隔手術の社会実装を推進してまいります。

ロボット支援手術hinotoriの遠隔手術風景 臓器モデルを用い、MIL名古屋のhinotoriをシンガポール国立大学から操作する須田教授(モニター内)

世界初 国産手術支援ロボット「hinotori™」による 胃がん切除手術1例目を実施

世界初 国産手術支援ロボット「hinotori™」による 胃がん切除手術1例目を実施

中部地方初 国産手術支援ロボット「hinotori™」による 1例目の手術を実施

中部地方初 国産手術支援ロボット「hinotori™」による 1例目の手術を実施

遠隔によるロボット手術の国内初の実証実験を実施

遠隔によるロボット手術の国内初の実証実験を実施

「hinotori™」サージカルロボットシステムとは?

株式会社メディカロイドは、2013 年川崎重工業株式会社とシスメックス株式会社が共同出資し設立されました。 2015年より国産手術ロボットの開発を開始し、2020年12月に「hinotori™」を販売開始しました。

「hinotori™」の名称は、医師でもあった漫画家・手塚治虫氏の代表作「火の鳥」にちなんで つけられました。「人に仕え、人を支える」ロボットというコンセプトのもと、「hinotori™」ロゴにも「火の鳥」がデザインされています。

「hinotori™」は、オペレーションユニット、サージョンコックピット、ビジョンユニットの3ユニットで構成されています。手術を実施するオペレーションユニットのアームは、ヒトの腕に近いコンパクトな設計で、アーム同士やアームと助手の医師との干渉を低減し、より円滑な手術が可能となることが期待されます。サージョンコックピットは、執刀医の姿勢にあわせることが可能なように人間工学的な手法で設計されています。執刀医の負担を軽減し、ストレスフリーな手術をサポートします。ビジョンユニットは、サージョンコックピットに高精細な内視鏡画像を3Dで映し出すとともに、執刀医と助手の医師との円滑なコミュニケーションをサポートできる設計となっています。

全国に先駆けて手術支援ロボット「da Vinci S Surgical System」を導入した藤田医科大学病院は、ロボット支援手術において国内トップクラスの実績を誇ります。「hinotori™」の実用化に向けての研究開発にも取り組み、2021年1月には「hinotori™」のトレーニングおよび遠隔手術等の研究・実証実験を行うメディカロイド社との共同研究施設「メディカロイド インテリジェンス ラボラトリー 名古屋(略称:MIL-Nagoya)」を学内に開設しました。藤田医科大学の「hinotori™」所有台数は2021年10月現在、MIL-Nagoya1台、藤田医科大学病院1台、藤田医科大学岡崎医療センター1台です。

手術支援ロボット「ダビンチ」

さまざまな術式に対し、今後も拡大へ

ロボット支援手術の手術室 ペイシェントカートは中央、手術者コンソールは写真左奥

2008年、全国に先駆けて「da Vinci S HD サージカルシステム」を導入。以降、ダビンチを用いたロボット支援手術の術式開発とその普及啓発に継続的に取り組み、現在では国内トップレベルのダビンチ使用実績を誇ります。外科系すべての診療科でロボット支援手術を実施し、さまざまな手術に対応できる環境にあります。当院が主導した多施設共同臨床試験の結果を受けて2018年に胃、食道、直腸を含む12のロボット術式が保険収載され、2020年に膵臓を含む7術式、2022年に結腸、肝臓を含む8術式が保険収載され、消化器外科領域においては、血行再建を必要としないほぼすべての悪性腫瘍手術に対するロボット支援手術が健康保険で治療可能となっています。今後は機能改善を目的とした低侵襲手術への応用が期待され、乳がんや鼠径ヘルニア、肥満症に対するロボット支援手術など、大学病院であればこそ保険未収載の新規ロボット術式にも先進的に挑戦しています。当院では、これまで4台のダビンチを稼働させてきましたが、2025年より最新のda Vinci 5を導入し、既存のda Vinci Xiとda Vinci SPを更新・変更します。これにより、da Vinci 5 1台、da Vinci SP 2台、da Vinci Xi 1台の合計4台体制となります。


ダビンチおよび対象疾患について詳しくはこちら

手術支援ロボット最新機種「ダビンチSP」による1例目の手術を実施

医師5人から始まる日本初の講座

先端ロボット・内視鏡手術学講座 宇山 一郎 教授

宇山一朗教授が所属する最新の手術支援ロボットや内視鏡を使った手術方法を研究する先端ロボット・内視鏡手術学講座は、日本初となる大学院博士課程を新設しました。ロボットを使った遠隔手術の実現や消化器外科、呼吸器外科など、診療科ごとに蓄積している手術の技術を共有し医療の質の向上を目指します。

【先端ロボット・内視鏡手術学講座 宇山 一朗 教授】
世界初の腹腔鏡下胃全摘術をはじめ 1,000 例以上の腹腔鏡手術を経験。ロボット支援手術の第一人者として多くのの経験症例数を誇る。

Hugo™RASシステム 手術支援ロボット

2023年7月に導入したHugo™は、5本のアームがそれぞれ独立しており、症例や術式に応じて、配置をフレキシブルに変えられる設計となっています。どの方向からでもアクセスできるので、手術の幅が広がることが期待されます。また、双眼鏡をのぞき込むようなスタイルで執刀する他機種に対して、Hugo™は複数人で術野画面を確認できるオープンコンソールを採用。執刀医は周囲の医療スタッフとアイコンタクトで容易にコミュニケーションがとれるのも特長のひとつです。

製品概要

Hugo™RASシステムは、システムタワー、アームカート、サージョンコンソールの3つの主要コンポーネントで構成されています。(図1)

Hugo™RASのシステムタワー、アームカート、サージョンコンソール 左よりシステムタワー、アームカート及びサージョンコンソール

Hugo™RASシステム構成品 図1 Hugo™RASシステム構成品

システムタワーには、コンピュータ、エンドスコープシステム、電気手術ジェネレータ、電気管理システム、ディスプレイなどが搭載されており、システムタワーを通じて、サージョンコンソールは最大4本のアームの動作をコントロールすることができます。
アームカートは、キャスター付きの移動可能なプラットフォームとなっており、術式に応じて、使用するアームカートの数を決めることができます。また、術者の意図するポート配置及びアームセッティングができるように、アームの高さの調整や(図2a,b)、アプローチ角度の設定をすることも可能です。(図2-c,d,e,f)

Hugo™RASのアームカートの可動 図2 アームカートの可動(a,b:アームの高さ、c,d,e,f:可動域)

サージョンコンソールは、オープン型を採用しており、術者は専用の3Dグラスを着用し、コンソールに設置されている3Dモニターを介して操作をします。オープン型のため、術中にコンソールで操作している医師は、術野のアーム動作の確認、助手及びその他手術室スタッフとのコミュニケーションが容易となり、より円滑な手術になることが期待されます。(図1)

手術適応領域

現在は泌尿器科、婦人科及び消化管外科(胸部食道操作を除く、上部・下部)における適用を受けています。

日本で初めて導入された手術支援ロボット「ROSA」を使用した人工膝関節置換術が800件を突破

「ROSA システム」は、インプラントの正確な設置を計画する術者を支援します。その特徴は3つあり、第1に適切な骨切り位置にロボットアームが誘導され、正確な位置を決定します。第2にプランニング通りになっているか誤差を数値で確認できます。第3にロボットアームによりインプラントの位置などの微調整が可能です。術者は、データをもとに通常手技に近い感覚で手術が可能で、熟練度に関わらず良好な手術成績が期待できます。人工股関節置換術にも適応可能で、藤田医科大学病院では「ROSA」を重要なロボティックサージェリーの一つとして位置づけています。

  • ROSA Knee システム

  • 骨切り角度をROSAがナビゲーション

安全・安心な人工膝関節置換術の実現へ

藤田医科大学ページ